投稿者「木原 康明」のアーカイブ

核融合実験に成功。新たなエネルギー供給源になるか

10日、ドイツのマックスプランク研究所の研究チームが、ヘリウムの核融合反応実験に成功したと発表した。とはいえまだ初期段階で、成功した核融合状態の持続時間は0.1秒だという。しかし短時間であってもできるとできないでは大違いだ。今回の実験成功は非常に大きな成果である。将来的には30分の持続時間を目指すという。30分持続できれば商用応用化への展望が開けるという。

では核融合とは何か?一言で言うと核分裂の逆反応である。原子力などの核分裂はウランが分解することによってエネルギーを得る。しかし核融合は原子が合体することによってエネルギーを得る。身近な例は、太陽である。太陽では水素の核融合反応によってヘリウムが生成されている。その時に発生するエネルギーが我々の地球に届いているのである。

核融合では放射性廃棄物が出ないなど、原子力に比べて大きなメリットがある。そして燃料である水素はいたるところにある非常に豊富な物質だ。しかし技術的には原子力をはるかにしのぐ難しさがある。核融合炉は人工の太陽だと言われている。

現在、高速増殖炉もんじゅの存在意義が非常に問われ、もんじゅは廃炉の危機を迎えている。もんじゅのプロジェクトは失敗であると言える。夢の炉と言われたもんじゅに取って代わって、これからは核融合炉に力を入れてくることだろう。どこの国が最初に核融合炉の実用化にたどり着くか、世界で激しい競争が行われることが予想される。

インドでの高速鉄道計画、日本の新幹線方式が正式決定。安倍首相のインド訪問で

インドでの高速鉄道計画に、日本の新幹線方式が採用される見通しだ。12日の安倍首相とインド・モディ首相との会談で正式決定する。日本の新幹線輸出は、台湾に続いて二例目になる。インドネシアでの高速鉄道受注では中国に敗れたが、何とか盛り返した形だ。

日本の新幹線の技術・システムは非常にハイスペックだ。しかしインドネシアの受注競争ではそのハイスペックさがアダになった。インドネシアにすれば、過剰な安全システム、過剰な走行速度よりも、それなりのものを非常に安くで作ってくれる方がありがたいのだ。全てのことにおいて過剰なスペックを求める、特に安全面に関しては完璧さを求める日本人には理解しづらいかもしれない。しかしインドネシアの国内事情を考えると、インドネシアの選択は当然ともいえる。これは何も金銭面だけのことではない。治安面でも不安を抱えるインドネシアで、大金を投じて異常な安全面を誇る新幹線を投入する意義がどこにあるのだろうか。新幹線に投じるような大金があれば、治安向上にそのお金を投資したほうがより安全な国家が作れる。新幹線に大金を投じても、安全なのは新幹線の車内だけで、新幹線車両から一歩出ると治安が失われるということになりかねない。

しかし今回、インドは日本の新幹線を選んでくれた。日本人にとっては非常に喜ばしいことだ。新幹線を通じて安全面を求める姿勢を打ち出せば、新幹線の車内から出ても治安が良い国家になるという社会を作る、そんな一歩になるはずだ。日本にとっても、新幹線を採用してくれたインドに対し、あらゆる面に対して支援する方向に向かうだろう。

いま、世界で高速鉄道計画ブームが起こっている。日本のライバルはフランス・ドイツ・中国だ。スペックだけ見れば日本は断トツである。しかしインドネシアの件でもわかったように、高速鉄道計画には国内情勢・政治事情が複雑に絡んでくる。そして日本もそれに対処しようと首相をトップとするオールジャパン体制を築いている。これからの世界での受注争いで健闘することを期待する。

日本と韓国の事件報道を比較する

先日、靖国神社での爆破事件の犯人が捕まった。正確には犯人ではなくて「容疑者」と言わなければならないかもしれない。容疑者は韓国人だ。容疑者は事件後、即韓国へ出国したが、数日たってなぜかまた日本に入国してきた。もちろん即逮捕である。

今問題になっているのは、容疑者の報道手法である。日本では容疑者といえども実名で顔写真入りで報道され、民衆に情報をさらされる。しかし韓国ではまだ「容疑者」段階の人間の実名と顔写真が流されることは、一部の例外を含めてありえないという。そのことに関連して、韓国メディアは日本メディアが韓国人容疑者を実名写真入りで報道したことを批判している。

ここは日本である。日本で起こった事件について報道するとき、日本の手法に沿って報道するのは当たり前である。韓国が横やりを入れるようなことではない。

しかしこれをきっかけに今一度考えてみるのも一考ではないかと思う。容疑者はあくまで容疑者、まだ犯人と断定されたわけではないのである。後に無罪判決が下されるかもしれない。日本では容疑者と犯人が同義語になっている。しかし容疑者は「容疑をかけられている」という段階であり、あたかも確実に犯人であるかのような日本の報道は人権上間違っているのかもしれない。

今回の話題は韓国の横やりから起こったことであるが、今一度日本の犯罪報道の仕方を考え直すのにいい機会かもしれない。

金星探査機「あかつき」、金星周回軌道投入成功

9日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の金星探査機「あかつき」が、金星の周回軌道への投入に成功した。5年の待機の末のことだ。

7日のブログで書いたように、僕は(僕自身の独断と偏見だが)今回のあかつきのミッションは失敗するのではないかと思っていた。耐用想定年数4年をすでに超えている、主エンジンは故障しているなど、あかつきにはあまりにも負の要素が強すぎた。しかし今回、僕のネガティブな思いに反して、あかつきは無事最初のミッションをクリアした。これはもう、JAXAの研究員・技術スタッフの賜物以外の何物でもない。

そしてさっそく、あかつきが撮影した金星の写真が地球に送られてきた。鮮明で大きな金星が写っている。あかつきの本当のミッションはこれから始まる。今やっとスタート地点に立ったところだ。これからあかつきは数々のミッションをこなし、多くの成果をあげることだろう。それに伴って、金星の謎の多くが科学的に解明されるかもしれない。最近はJAXAはいいこと続きだ。H2Aロケットの打ち上げ成功、そして現在進行中の「はやぶさ2」もミッションも今のところ異常なく小惑星へ向かっている。もしかしたら僕の知らない困難を多く抱えているのかもしれないが、ニュースにならないところを見ると、大きな失敗はないのではないかと思われる。

日本の宇宙開発・宇宙産業にとって、アメリカ・ロシアは大きな壁であると言われている。しかし日本のロケットの信頼性などは世界のトップだ。今、ようやく米ロのしっぽをつかみかけたところかもしれない。これからの日本の宇宙開発の成功を祈る。

「論語」読み始め

最近、孔子の論語を読み始めた。論語入門者である。これまでニーチェ、ショーペンハウアーなどのドイツ哲学、西田幾多郎などの京都学派などに興味を持って触れていたが、中国哲学の金字塔「論語」にも触れ始めた。

論語の原著は1巻から10巻まであり(岩波文庫版では全て一冊にまとまっている)、僕が読んでいるのは岩波文庫版で、原文(漢文)・書き下し文・日本語訳の三つがまとまって書かれている。初めは原文に何とか目を通して、書き下し文で感じをつかんで、日本語訳で内容を知るという感じだ。

入門者が言うのもなんだが、論語の凄いところは、解釈の自由度が非常に高いところだ。であるから日本語訳だけ読んでも論語の真意は全く伝わらない。原文(漢文)を苦労して解釈してこそ意義のある書物なのである。

大学入試の国語では漢文が出題される。センター試験の国語では漢文の配点は200点満点中50点だ。しかし大学受験生当時、好きな数学・物理ばかりに没頭し、漢文対策など全くしなかった僕の漢文の成績はご想像の通りだ。ですから、今論語の原文を読んでいると言っても完全な我流であり、非常に苦労している。大学受験生時代、漢文を勉強しなかったことを非常に後悔している。

しかしこんな漢文初心者でも、論語を読み進めるにつれ、平易な日常生活を描く中に深い本質を織り込んでいる論語という書物は、ヨーロッパ哲学にもギリシャ哲学にもない独自の世界観・学問が切り開かれていることが感じ取られる。

もちろん、論語の真意など、まだ読み始めた僕のような初心者にはわからないかもしれない。論語というものが偉大なものであるという一般的評価を信じて入り込むしかない。論語の中に深い真意があると信じて自分流の解釈を導き出す。この繰り返しで中国哲学の何たるかが1%ほどはわかったかもしれない。残りの99%を導き出すためには何度も読み込み、自分の頭の中に解釈に解釈を重ね、自分流の論語を作り出さなければいけない。

論語の真意は書物に書かれているのではなく、読む人間の頭に構築されると僕は信じている。

システム化された現在のF1レースをめぐって。強者メルセデスAMGと野村ID野球

とある記事で、今年のF1レースがつまらないという論を読んだ。その理由はこうだ。現在のF1はチーム外の情報解析戦略者が数人いて、その人たちが情報を瞬時に解析し、衛星回線を通じてチームに指令を出し、チームはそれを実行するのみだというのが面白くないというものだ。現在のF1にドライバーの判断権利はほとんどないらしい。そのような情報至上主義なレースがどうやら不評なようだ。ファンはドライバーの人間ドラマが見たいらしい。

思えば昔、プロ野球でも同じような革命が起こった。ヤクルト野村克也監督のID野球だ。その当時、情報至上主義の野村ID野球を批判する人は多かったように思える。その理由は今回のF1と同じものだ。「人間ドラマが見たい」

当時、野村監督と古田敦也捕手が中心になってID野球を実行するヤクルトは非常に強かった。ID野球への批判はその強さに対するひがみもあったのかもしれない。強すぎるものは、すなわち出る杭は日本ではいつの時代でも打たれる。しかしその批判こそ野村ID野球の素晴らしさを物語っているのではないか。

プロ野球もF1も、プロ中のプロたちが戦う場だ。負ければ容赦なく切り捨てられる。ルール内でいかに効率的な勝ち方をするのか、競技が洗練されてくれば自然とたどり着くところではないか。ましてやF1には桁違いのお金がかかっている。レースの結果は本業の車作り・販売に直接影響が出る。遊びの要素など一つもない。

現在、プロ野球でID野球という言葉はなくなった。しかしそれはID野球が無くなったのではなくて、ID野球が常識になったのであえてその言葉を口にする人がいなくなっただけである。しかし現在のプロ野球も非常に面白いものである。いかに情報を上手く利用するか、そのような面白味も出てきた。

F1も今はID野球が通ってきたような過渡期なのだろう。数年すれば、情報戦略ドラマを見るような面白味を見出すファンも増えるに違いない。

金星探査機「あかつき」、金星軌道投入に再挑戦

5年前に打ち上げられ、金星の軌道投入に失敗した金星探査機「あかつき」が、5年の歳月を経て再び軌道投入に挑戦することとなった。5年前には主エンジンが故障し、金星軌道投入に失敗し、この5年の間に太陽の周りを9周した。今回の挑戦ではもちろん壊れている主エンジンは使えないので、4基の補助エンジンを20分間全開で稼働し、投入を試みる。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)がどれくらいの成功率を見込んでいるかわからないが、僕の見聞きした個人的な感覚では、成功率はかなり低いように感じる。おそらく(JAXA)も半分はダメもとで挑戦しようとしているのではないか。

あかつきの耐用年数は4年であるらしい。しかしすでに5年の歳月が過ぎている。もし今回の投入に成功しても、すでに耐用年数を過ぎた機体を使うことになる。投入成功後、正常に金星探査のミッションが行えるかどうかも不安が残る。しかしもし軌道投入に成功し、金星探査の成果が上げられれば、窮地からの逆転勝利ともいえる。

軌道投入挑戦は、今日7日午前である。ミッション成功を祈るばかりである。


ニューヨークタイムズ紙が「1面」で銃規制についての社説を掲載。カリフォルニアでの銃乱射事件を受けて

12月5日、ニューヨークタイムズ紙は「1面」で銃規制に関する社説を掲載した。社説は日本の新聞を見てもわかるように、1面には掲載されない。日本の大手新聞紙では3面に掲載されるのが普通だ。すなわち、社説を見るためには手で一枚めくらなければいけない。その社説を5日のニューヨークタイムズ紙は「1面」に掲載したのだ。

この社説を1面、すなわち表紙に掲載することは非常にインパクトがある。社説とは字のごとく、「新聞社の説、新聞社の姿勢・思想」である。であるから社説は基本的には各新聞紙それぞれ違う内容を打ち出す。今回のカリフォルニア乱射を受けての銃規制に関しても、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「銃規制しても乱射事件は防げないに決まっているから、銃規制なんて無駄だよ」という趣旨の記事を書いているという。ニューヨークタイムズ紙とウォール・ストリート・ジャーナル紙の姿勢は正反対なわけだ。

よく知られていることだが、これだけ銃による悲劇が繰り返されても全く銃規制が進まないのは、全米ライフル協会による圧力、族議員へのロビー活動が原因だ。過去に何人もの大統領が銃規制法案の成立を試みたが、ほぼ全て廃案に追い込まれている。

しかしもうアメリカ国民の間でも、銃社会に対して反感を覚える人たちはMAXに達しているのではないか。アメリカは過去に何度も乗り切れられないと思われた難題を解決してきた。奴隷解放問題・黒人差別問題。そして今、この銃規制問題を解決すべき時ではないだろうか。

現大統領のオバマ氏も銃規制法案に前向きだ。もしかしたら次期大統領までかかるかもしれないが、銃規制法案が近い将来成立すると僕は感じている。

最近忘れがちな、北朝鮮の脅威

最近、日本の安全を脅かす国として中国が頻繁に取り上げられ、韓国の反日運動なども話題になるが、北朝鮮の脅威を忘れていないだろうか。最近の僕のブログでも中国の脅威については幾度も触れてきたが、北朝鮮の脅威については忘れがちだったような気がする。

日本人にとって北朝鮮問題と言えば、拉致問題が真っ先に取り上げられる。もちろんそれも日本にとって大事な問題だ。しかし最大の脅威は北朝鮮の核問題である。過去に数度の核実験を行い、それによって起こった地震のマグニチュードは4クラスだ。

北朝鮮の核というと韓国を攻撃するためだと日本人は思いがちだが、日本ももちろん核の攻撃対象である。北朝鮮にとって日本は韓国に次ぐ仮想敵国なのである。

しかし日本人はそのことについて全く気にする様子がない。日米同盟によりアメリカが全て防いでくれる、あるいはアメリカの核の傘があるから大丈夫だと安心しているのであろうか。

核の傘については日本人はせこいと思う。自国は非核三原則(これ自体は素晴らしい思想だと思うが)により核には全く触らないくせに、アメリカの核の傘を要求する。筋金入りの反核運動者は核の傘まで否定しようとするが、その思想の根底に抑止力の概念など全くない。

とにかく、北朝鮮の核は現在進行形の脅威である。今の日本人は、中国・ロシア・北朝鮮の核保有国の脅威に対しての危機感があまりにもなさすぎるのではないかと思う。

下町ロケットが面白い

現在、TBSで放送されているドラマ「下町ロケット」が、非常に面白い。原作は池井戸潤氏の小説で、直木賞作品でもある。このドラマを一言で表すと、「もの作りに対するプライドのぶつかり合い」とでも言えるのではないだろうか。非常にしっかりと作られ、意図もはっきりした素晴らしい作品だと僕は思う。

ドラマ中に出てくる企業もまた面白い。帝国重工や宇宙開発機構などは、それぞれ三菱重工、JAXAをモデルとしていることは明らかである。しかもこの二社が現実に日本のロケット開発の中心であることから、ドラマに現実味を持たせている。そして余談だが、ドラマの中心である佃製作所の佃航平であるが、数年前の三菱重工の社長(現相談役)は(関係ないとは思うが)佃和夫という人物である。

もの作りによって成長してきた日本にとって、このドラマは出るべくして出てきたといえるのかもしれない。もの作りに実感のない日本人も多いとは思うが、このドラマによってもの作りとは何かということがかなり伝わったのではないか。

同じ池井戸氏の小説をもとにして作られ、大ヒットしたドラマ「半沢直樹」は銀行を舞台としたドラマであったが、その金融業界ももの作りの業界との取引がなくては成り立たない。どうしても資金を握っている銀行の権力が大きく取り上げられるが、その源泉となっているのは日本のもの作りである。そういう意味でも半沢直樹と下町ロケットは非常に強いつながりがある。

そしてまたまた余談だが、ドラマ中に出てくる帝国重工・宇宙航空部部長、財前部長を演じる吉川晃司さんがすごく格好いい。ダークネイビーのスリーピーススーツが非常にお似合いで貫録がある。財前部長のスーツのブランドを調べてみたが、わからなかった。

現在、下町ロケットは後半の「ガウディ編」に入り、ロケットとはガラッと変わって医療機器の開発がテーマとなっている。医療機器業界は宇宙航空業界以上にわかりにくい業界である。その業界がどのように描かれているのか、今後の展開が楽しみである。