A級戦犯の遺書を公開

先日、あるお寺で太平洋戦争のA級戦犯で絞首刑された7人の遺書が公開された。A級戦犯といえば東条英機が圧倒的に有名だが、それ以外の6人のことをご存じだろうか。僕自身もとりわけ詳しいわけではないが、そのうちの一人、元首相・外相の広田弘毅には非常に強い思い入れがある。その理由は、15歳の時に読んだ一冊の文庫本だ。城山三郎の「落日燃ゆ」という本なのだが、内容は広田弘毅の生涯や思想を一冊にまとめた小説だ。

僕は今まで読んだ小説の中でもこの本が一番面白かったと思っている。広田弘毅はA級戦犯で絞首刑にされた7人の中で唯一の文官、つまり非軍人だ。しかし時代がそうさせたのか、戦前の軍国主義に進んでいこうとしているときに首相に指名され、戦争への道を避けようとしたにもかかわらず軍部に引きずられるようにA級戦犯にされた。

広田のA級戦犯については今でも議論され、冤罪であったという意見が今では強い。極東軍事裁判の判事の中でも無罪を主張し続けた外国人判事もいる。

広田はもともと外務官僚だ。外務省同期には戦後首相になった吉田茂がいる。広田が吉田に比べて圧倒的早く外相・首相になったことからもわかるように、広田は圧倒的に優秀な官僚であった。しかしそれが災いし戦犯になることになった。それと対照的なのが吉田で、出世が遅かったがために戦後活躍することができた。

A級戦犯は戦争の一部の縮図に過ぎない。しかし戦犯を知ることによって軍国主義時代の中枢の動きが明らかになる。軍国主義に走っていった日本の中で、広田のような信念を持った文官が犠牲になったことも広く日本人に知ってほしいものである。

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