日別アーカイブ: 2020年4月12日

本物の本。

よく高額なものを購入する理由を、「本物を知るために購入するのだ」と言う人がいる。確かに僕だって偽物などは買いたくないし、可能な限り本物を手に入れようとするだろう。しかし必ずしも「本物=高額品」と言う訳ではない。そもそも高額だからと言って本物を買う人達は、なぜそれが本物なのかと言うことを理解していないのではないだろうか。あるいは、聞いた話をそのままスピーカーのように喋って、本物感を力説するかだ。

ピカソの絵画を見て、それが瞬時に素晴らしいものだと理解できるだろうか?あるいはピカソの本物作品と贋作を瞬時に見破れるだろうか?そしてなぜピカソの描いた本物作品と偽物が見た目はほとんど同じなのに、価値が大幅に違うことを説明できるだろうか?これらの事は全て先入観によって左右されることである。そして高級だから本物に違いないと言う根拠のない意識から来るものである。

本物を知るのに一番良い方法を伝えよう。それは「本物の本」を読むことである。例えばアインシュタインの原論文を読むとか、マルクスの資本論を読破すると言うことである。そしてこれらは基本的に多額の現金はいらない。せいぜい書物を購入する費用くらいである。なので高く見積もっても数千円もあれば手に入れることができる。多額の現金を支払って本物にしか興味がないと言う人には、これはぜひとも伝えたいことである。少なくとも絵画や高級ブランド品よりかははるかに得るものがあるはずである。

もちろん、どうしても手に入れたい一作の絵画があって、それを手に入れるために必死に稼いで購入することは非常に意義があるだろう。それはその人にとって本当に価値のあるものに違いない。しかし本物にこだわって多額の現金を支払う人にとっては、はっきり言って豚に真珠である。それを購入する前に資本論でも読破した方が良い。

本物の本と言うものは本屋や図書館に行けば山のように積まれている。そこからどの本物書物を選ぶかは自分次第だ。くだらない自己啓発本ではなく、価値ある原著を選べるか?さらには愚作があふれる新刊本・論文の中から本当に価値のあるものを選べるか?それらのセンスはこれまで生きてきた自分の人生がどのように濃いものだったのかが顕著に表れるものである。