物理学と生物学、二つの領域。

物理学と生物学は両方とも科学の基礎である。しかしその特性は大きく違う。物理学は自然の一般性の基礎であり、生物学は自然の特殊性の基礎と言える。

科学には還元主義という考えがある。還元主義とはその名の通り、現象をより根本的な要素に還元してく思想である。例えば、生命現象を還元していけば化学にたどり着き、その化学をさらに還元していけば物理学にたどり着く。その物理学の中で最も還元していった極限にあるのが素粒子論である。

すなわち、還元の矢の先端にあるのが生物学で、矢の根っこにあるのが物理学である。還元の矢の先端に近ければ特殊的性質の色が強く、矢の根っこに近ければ一般的性質の色が強くなる。(紛らわしいが、矢印の根の部分を最初の部分という意味で“先端”と呼び、矢印の先端を最後にたどり着く部分という意味で“根っこ”と言っている。)

生物学の面白さはその特殊性にあり、物理学の面白さはその一般性にある。とは言っても特殊科学である生物学の研究においても、その中にある普遍性を突き詰めることが最も重要になる。ワトソン・クリックの遺伝子の二重らせんはその最たるものであろう。

物理の研究者にとっても生物学的知見は素養として重要であり、生物学者にとっても物理学的素養は重要である。それを行動において強く示したのが量子力学を打ち立てた物理学者・シュレーディンガーの著書「生命とは何か」であろう。

細部を極めるのも必要であるが、広く科学の一般的知見を身に付けることもそれに劣らず重要である。

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