日米同盟はいつまで

最近、自民党の石破茂衆院議員(現在、地域創生担当相)が執筆された本を読んでいる。石破さんと言えば防衛庁長官、防衛相を歴任しており、自他ともに認める防衛のプロフェッショナル(本人は軍事マニアとも言っている)だ。その本が書かれたのは5年ほど前で、当時は集団的自衛権など国民も国会議員もほとんど関心のなかったころだが、石破氏は当時から集団的自衛権の重要性を訴え、そもそも集団的自衛権とは何ぞやということを丁寧に説明してまわっていた。

集団的自衛権と言えば、「アメリカと一緒に地球の裏側まで戦いに行く」という短絡的なイメージがあるが、事はそんなに単純ではない。ましてや最近の「戦争法案」などと一言でかたずけられるようなものでは決してない。集団的自衛権が問題になっているのは国際貢献などの理由もあるが、それ以上にアメリカと日本の共通する国益が大きな理由の一つである。日米同盟にしても、アメリカは日本と同盟することによって大きなメリット・国益があるからこそ日本と同盟しているのである。したがって日本と同盟することにメリットを感じなければ同盟は破棄されるのが当然のことである。何もサービスで同盟を結び、日本を守っているのではないのである。

しかし日本人はそんなことは微塵も考えずに、日米同盟は当たり前のものと思い、アメリカが日本を守るのは当然のことだと思っている。しかしこれは当然のことでもなんでもないのである。アメリカだって自国が困っているときに助けに来ないと宣言している国を守ろうなんて思わないはずだ。ただ現在は中国の脅威などもあって、日本と同盟を結ぶことがアメリカにとっても大きなメリットがあると言うだけのことなのである。

万が一、本気で集団的自衛権を断固拒否するのであれば、スイスのように永世中立国になるしかない。永世中立国と言うと日本人は勘違いして永遠に平和的な国だと思っている人がいるが、そんな幻想のような生易しいものではなく、他国から攻撃されても助けに来る国がないのだから自国の軍隊だけで守らなければならない。当然強力な軍事力が必要になり、実際にスイスは強力な軍隊を保持している。

集団的自衛権を含む安保法案はすでに可決されたが、安保法案賛成派も反対派もその一面だけしか見えてないような気がする。歴史を知ることは非常に重要だが、近現代歴史、そして政治・安全保障について日本人はもっと勉強をすべきではないかと思う。

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