ミャンマー(ビルマ)で総選挙、アウン・サン・スー・チーさんをめぐって

11月8日、ミャンマー(ビルマ)で民主的(と思われる)総選挙が行われた。今回の選挙では、アウン・サン・スー・チーさん率いる国民民主連盟が圧勝するとみられているが、第三者による出口調査が行われていないので詳しいところはわからない。

ここで、ミャンマーという国名に括弧で「ビルマ」と付け加えたことは、ある人に従っている。現在の朝日放送・報道ステーションの前身、「ニュースステーション」のキャスターだった久米宏氏だ。彼はビルマに軍事独裁政権が誕生し、国名がミャンマーと変わった後も、頑なにビルマと表現し続け、軍事独裁政権を批判した。久米氏の粘り強い抵抗には共感していたが、現在テレビニュースでビルマという名前を聞くことは全くなくなった。久米氏の抵抗の意志を支持するためにもここでは括弧つきだが「ビルマ」と書かせていただいた。

今回の選挙で、国民民主連盟が圧勝するとスー・チーさんが大統領になれるのかというと、話は簡単ではない。軍事政権が大統領になれる資格としていくつかの条件を設定しているのだ。子供がイギリス国籍であるスー・チーさんは現在の法の下では大統領になる資格は得られないのである。そもそも法を半ば無視した軍事政権に法がどうだという資格はないのではと思うが、このスー・チーさんを狙い撃ちしてできたと言われる法の下ではなれないことになっている。

現時点でミャンマーは軍事政権国家だが、経済の方はずいぶん解放された印象を受ける。日本にいてそれを一番感じるのは、衣料品ではないだろうか。衣料品の産地を見ると、メイド・イン・ミャンマーと書かれたものも少なくない。とはいえ、本格的な開放路線を実行するためには、政権交代し、軍事国家体制が倒れなければかなりきついと言える。

選挙後の争点は、もちろんスー・チーさんの処遇であろう。頑なに民主化を唱えてきたスー・チーさんが政治で大きな影響力を握るとどんな方向に進むのか、今後の推移を見守っていきたい。

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