デザイナー・ベビー(遺伝子編集赤ちゃん)

とある記事で、胚(受精卵)の遺伝子を編集して、天才を生み出すことができるかという記事を見た。現在の生命科学技術では、遺伝子を編集するということは可能であるらしい。そこで遺伝子を編集して望みの赤ちゃん(デザイナー・ベビー)が作れるのか、という問いが生まれる。胚の遺伝子操作により希望の能力を持った赤ちゃんを作ろうということは倫理的には大問題であり、許され事ではないが、ここでは倫理的な問題は横に置いておこう。

そもそも遺伝子操作によって望みどおりの赤ちゃんを作るには、その望んでいる能力が高い遺伝性を持つことが要求される。天才の遺伝性は完全に否定することはできないが、完全に肯定することもできない。確かに天才から天才が生まれるとは限らない。アインシュタインの息子が天才だとは聞いたことがない。しかし数学の世界で有名な話に、ベルヌーイ一族という人たちがいる。「一族」と言われているように、それぞれ親子・兄弟である数人の家族である。ベルヌーイ一族の数学者・物理学者たちは、いずれも世界トップレベルの著名な学者である。このように天才の遺伝が濃く見られるケースもほとんど稀であるが見られることがある。

結論から言うと、デザイナー・ベビーによって天才を作ることはほとんど不可能だという。天才の原因となる遺伝子というものはない(少なくとも現在はそのようなものはないと考えられている)。そしてそのような能力は、遺伝子の複合的な相互作用、そして育った環境によって形成されるものと思われる。そのようになると現在の技術・知識では完全に不可能だ。

このデザイナー・ベビーという問題、人間の欲とは時には非常に恐ろしいものだと考えさせられる。

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