サウジアラビアによるイラン大使館空爆。「目には目を」少し勘違いしてはいないか?

現在、サウジアラビアとイランの対立が激化している。6日夜、サウジアラビア軍はイエメンにあるイランの大使館を空爆した。この空爆は、イランのサウジアラビア大使館が焼き打ちにあったことによる報復だ。サウジアラビアはイラン大使館の空爆に対して、「目には目を」と主張しているらしい。この主張は完全に間違っているわけではないが、この言葉の意味を少し勘違いしているのではないかと思う。

もともと、「目には目を、歯には歯を」という言葉は、やられたらやり返すという積極的な報復の意味ではなく、目をやられたら相手の目を傷つける以上の刑をしてはいけないという自制の念という意味合いが強い。言わば戒めの言葉なのである。ところが現在は、この言葉の意味を積極的な報復の意味としてとらえている人が多い。

日本の裁判では、一人の人間を殺した犯罪者に死刑を言い渡されることはほとんどない。ほとんどの場合は犯した罪よりも軽い量刑を言い渡される。そのような判決に不満を持つ国民は多いと思うが、このような量刑も本来の「目には目を」の原則に則ったものではないかと思う。

時の権力者は、犯罪者に対して犯した犯罪の大きさを大きく超える刑罰を与えてきた事例が非常に多い。目には目をは、そのような権力者に対しての戒めでもある。犯罪者の犯罪を大きく超える刑罰を与えることは感情的であり、思想の後進性を明白に示すものである。目には目をという言葉と対照的な言葉に「右の頬を打たれたら、左の頬を出しなさい」というものがある。この言葉に対しての是非は僕自身は何とも言えないが、思想の豊かさを発展させていくにはこのような言葉の意味を受け入れることが必要なのかもしれない。

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