ついに、中国の目前で韓国が中国・南シナ海問題を非難

11月4日、マレーシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大国防相会議で、韓国国防相が中国の南シナ海埋め立て軍事化問題を非難した。韓国はこの問題で中国とアメリカの板挟み状態になっており、ついに決断をした形だ。

今までは経済は中国寄りに、安全保障はアメリカと同盟、という形で分離外交を続けてきたが、中国経済からのあまりにもの影響の大きさに軍事面でも正面から中国に意見を言えない状態に陥っていた。今回の韓国の注文は当たり前の行為だと言えば当たり前のことだが、今までその当たり前の行為が取れなかったわけだ。

中国にすれば、軍事式典で韓国・朴クネ大統領を厚遇するなど韓国を懐柔したと思っていたであろうが、やはり経済は安全保障には勝てなかった。今回の韓国のアメリカ寄りの態度表明により、中国が経済面で韓国に反撃することも予想される。もしそうなれば韓国は一気にアメリカ側に揺り戻されるだろう。

今回の表明は、日本にとっても非常に利益のあるものだ。中韓両国での反日運動はこれからも続くであろうが、中韓の反日共闘にはヒビが入る可能性もある。

それから韓国が今回の表明を表したもう一つの理由に、TPP問題がある。韓国は日本との直接の経済競争を避けるため、TPPには不参加の態度をとってきた。ところが最近はTPPの巨大経済圏の誕生に危機感を感じ、TPP参加の方針に変わりつつある。TPPは実質上、日米がリードしている。すなわちTPPに参加するためには日米とより密接に結びつくことが必須だ。その布石として今回の中国への注文という態度に踏み切ったと思われる。

今回の韓国の態度は中国にとって非常に痛いものであろう。そして韓国にとっては避けて通れない道であった。板挟み外交からの脱出への道である。最近の朴クネ氏の中国外交には、同盟国であるアメリカ、そしてアメリカと同盟関係にある隣国の日本にとって非常に危機感を感じるものであった。しかし米オバマ氏も日本にとっても、とりあえず心配に種が一つ取れたと言えるだろう。

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