知識はいらない!

書物を読み、知識を習得することは重要な事である。しかし知識を習得することは最終目的ではない。修得した知識を基に、何を構築できるかが重要なのである。

科学を身に付けるとは、自然科学の知識を習得することだと勘違いしている人が多い。しかし科学とは人間の自然に対する思想である。科学的実在は人間の存在と関係なく実在するものであるが、科学理論は人間が構築した自然記述であると同時に人間の自然観を表した思想なのである。

自然科学の歴史は、既存の科学への部分否定の繰り返しである。ただし全否定ではない。否定されると言っても、既存の科学が見捨てられたわけではない。既存科学はその時代の人間の自然観として未来へと残っていく。

さらに科学というものには階層というものがある。生物学や化学、物理学と言われる区別は一種の階層分けであり、物理学で言うと物性物理、原子核物理、素粒子物理へと進むにしたがって深い階層へと入り込んでいく。

6月11日のNHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」で、辞書作りに携わる日本語学者・飯間浩明氏の特集がされていた。辞書作りのプロとは一言で言うと「言葉を扱うプロフェッショナル」と言えよう。そんな「言葉」というある意味知識的な要素に対しても、辞書作りの専門家にとっては思想とか哲学があるようだ。そのような言葉に対する思想や哲学に対して、科学者の思想や哲学に通じるものを感じた。

科学というものは決して知識の羅列ではなく、その根底には思想や哲学が深く流れている。そのような思想や哲学を持っているかどうか、そこがプロフェッショナルのプロフェッショナルである所以と言える。

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