欧米を追いかける研究と、追いかけない研究のバランス

ノーベル賞、化学賞も日本人、とはいかなかったが、連日の医学・生理学賞と物理学賞の受賞に日本がわいた。

ところで今回のお二方の研究は、研究結果の重要性はもとより、日本独自のオリジナリティが大きな評価の対象になったのではないかと感じた。物理学賞の梶田氏の研究は、岐阜県神岡鉱山跡にある「スーパーカミオカンデ」という実験施設が舞台になった。世界の物理界では巨大な加速器の建設競争が過熱し、加速器物理こそ欧米の研究の中心の一つともいえる。ところがスーパーカミオカンデは、地下に大量の純水を貯め、宇宙線粒子と反応した水が発生した微弱な光を検出するという非常に地味な実験施設だ。この様な施設は日本以外では(少なくとも僕は)聞いたことがなく、おそらくあまりにも地味すぎて外国では興味を持つ人がいなくて作られなかったのではないかと思われる。それに対して加速器物理は素粒子物理の華である。

とはいえこの地味に思えるスーパーカミオカンデは最先端の科学技術も取り入れられている。巨大な光電子倍増菅だ。純水貯蔵施設の壁にぎっしりと取り付けられている。この巨大光電子倍増菅は静岡にある浜松ホトニクスという企業の専売特許である。2002年の小柴氏の受賞時にも話題になった。

このカミオカンデのように外国が注目しない実験施設を作り、日本独自の研究を行ったことがオリジナリティの高さにつながり受賞に結び付いたのだろう。まさしく欧米を追いかけない研究の典型だ。

欧米中心の研究に取り組むことが悪いのではない。ただしそのような研究に取り組むならば後追いではなく先駆者にならなければ、単なるハイエナと呼ばれることになる。

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