最近、他分野に取り組んでいる理由。

僕は最近、専門の数理物理を軸としながらも、他分野にも積極的に取り組んでいる。例えば分子生物学や量子化学、数理脳科学などだ。さらに経済学、法学などにも取り組もうと考えている。なぜそのような他分野に取り組もうとしているのかと言えば、単にやみくもに手あたり次第手を付けているわけではない。僕はどの分野に関しても、理論的な範囲で研究結果を出せるくらい、あるいはそれ以上の結果を出そうと取り組んでいる。そして例えば、分子生物学や量子化学で言えば、それは基礎物理と階層をなして繋がっているわけであって、自然科学を総合的に理解しようと思えば、物理を基礎としながらも、化学や分子生物学を理解することは避けて通れない道だ。

そして人間が生きるうえでは、哲学的な視点を持つことは必要だ。哲学とは人間が生きるうえで道しるべとなる、言わば「指針」である。僕は少し前まで哲学に対して興味を持って取り組んでいたが、最近は学問的な哲学に対して興味は薄れた。その理由は、ドイツ哲学を中心とする学問的哲学がほとんど机上の空論、一言で言えば言葉遊びでしかないと感じたからだ。そのことが決定的となったのが、ショーペンハウアーの著書だ。もちろん、今でも哲学は非常に重要であると思っている。しかしそれは、学問的な哲学とは全く違うものである。

物理学や化学、生物学などのサイエンスは、自分たちが生きているこの宇宙の本質を知らせてくれる。そして経済学や法学は、自分たちが生きているこの社会の本質と精神を知らせてくれる。人間は宇宙に存在しているのであり、同時に社会に存在しているのである。だからその両方を知ることが必用だ。そして現在それに付け加えるのなら、コンピューターサイエンスを理解することも必要だ。AIと言うものは、利用するものではなく理解するものである。例えば、AIを理解するためにディープラーンニングを理解することが必用だ。決してコンピューターの奴隷になってはいけない。

改めて、なぜ他分野に取り組んでいるのかと言えば、理由はいくつかある。以上に書いたようなことが大きな理由だが、それと同時に総合的な視点を身に付けると言うことも重要だ。総合的視点は一夜で身につくものではない。しかしあらゆる分野を有機的に(網羅的ではなく)取り組んでいけば、必ずそれらの関連性が見えてき、そして総合的視点が身につくはずだ。専門の一分野を狭い範囲の中で結果を出すことばかり考えていれば、それは全く井の中の蛙である。そのような事では、自然の本質、科学の本質は全く見えてこない。生きる意味は何か?と問われたとき、その理由は人それぞれ様々であろう。そして一つではないはずだ。「本質を理解し見抜く」と言うことは、僕が生きる理由のうち非常に(最も?)大きな理由なのである。

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