新幹線に関する二つの話題。

現代日本において新幹線の存在は象徴的であり、常に何らかの話題を提供してくれる。そこで今日は新幹線に関する二つの話題を取り上げようと思う。

一つ目は、来年3月17日のダイヤ改正で、 東京~博多間、東京~広島間の「のぞみ」計5本の所要時間が3分短くなるという話題だ。この3分間をどう見るか?数字だけを見ると微々たる短縮にしか見えない。たしか「のぞみ」がデビューした時は、速度向上により20分ほどの短縮を行ったはずだ。

では昔の20分と今回の3分は何が違うのか?それは「技術とシステムの成熟」に尽きるだろう。成熟した技術下では、それなりの技術の向上があっても表面的にはそれほどの差は表れない。今回の3分は技術の成熟を示すものである。

ではこれから大きく数値を変えるためにはどうすれば良いか?それは成熟ではなく「飛躍」することである。リニア技術はその典型であろう。これまでの新幹線技術の熟成とリニア技術の飛躍は、多くの事柄に対するモデルになりうる。新幹線モデルは一つの成功モデルである。

二つ目は、最近ニュースになっている悪い話題だ。12月11日に発生した新幹線の台車に亀裂が入った事故。このニュースは新幹線の安全神話に浮かれている日本人にとっては衝撃である。

この事故で衝撃的だったのは、台車に亀裂が入ったという事実以上に、トラブルが発生した後も通常どおり事故車を走らせていたことだ。そしてこのような事実は日本だから起こったとも言える。

日本の鉄道は、非常に精密な運行をすることで世界的に知られている。そしてそれは運行をコントロールする側としても大きなプレッシャーであるに違いない。遅延などした場合には、世間・乗客から猛烈な非難を受けることは間違いない。このような日本特有の社会状況もあり、不備を認め運行停止にするという判断が下せなかったのであろう。目の前の小さなリスクばかりに目が行き、その先にある大きなリスクに目が行かなかったと言える。

この様な状況を変えるには、鉄道会社の意識だけでなく国民全体の意識を変えることが必要だ。安全性を高めるためには、運行の正確さを犠牲にせざるを得ないこともある。このような判断を国民、そして利用者が寛容に受け入れられるか?時間に厳しい日本人にとっては簡単なことではないと思うが。

阪神大震災の時には、新幹線の線路が崩れ落ちたところもあった。しかし幸いなことに時刻的に一番列車が走る前であった。このことは安全性によるものでなく「運」でしかない。しかしこのような幸運から新幹線の安全神話は継続されることになった。

今回の新幹線台車亀裂事故が明らかにしたのは「日本人の鉄道に対する意識のガラパゴス化」ではないだろうか?やはり意識というものは極端に一方を追求するのではなく、ある程度の余裕と寛容さが必要なのではないだろうか。

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