尊厳死問題について

欧州人権裁判所が、7年間植物状態で意識が戻らない男性の生命維持装置を外すことを認めた。本題に入る前に、欧州人権裁判所なるものが存在することに少し驚いた。さすが人権問題で世界をリードする欧州ならではである。

尊厳死を認めるかどうかの判断にはあらゆるファクターが入り込んでくる。医学的判断、科学的判断、人権判断、宗教的判断から親族の感情まであらゆる要素が入り込んできて、すべてを納得させることができる結論は皆無に等しい。しかしどこかで結論を出さなければいけない。

稀少な例であるが、数年後に意識が戻ったという例も聞いたことがある。さらに意思表示はできなくても本人には意識がある可能性もある。しかし医学的・科学的に言えば脳死状態の場合は意識が戻る可能性はゼロであって、生命的死亡と判断せざる負えない。

尊厳死に関する問題は負の側面だけではなく正の側面も多々ある。脳死移植に関する問題がそれだ。脳死によって一人の死が確定するわけだが、脳死者からの移植によって助かるいくつかの命がある。親族にはもちろんつらいが、その一方生を手に入れられる喜びをかみしめることができる人がいるのである。このように植物状態の本人とその親族だけではなく、社会全体に与える影響も複眼的に考えなければいけない。

死の定義は時代により、また地域により変わり続けている。今の時代に合った「死」の定義は何か。常に最新の医学と知見、世論を考慮しながら判断しなければいけない問題である。

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