世の中から科学に対する関心・感動がなくなってきている。

十年くらい前からだろうか。世の中から科学に対する関心・感動がなくなってきているように思える。なぜ十年前か?十年前というとちょうどスマホが世の中に出た頃だ。スマホに対する技術は凄い。そして現在もスマホに対する技術は年々向上している。しかしそのような新しい技術を凄いと感じたことはあるだろうか?ほとんどの人は「また新しい便利な機能が追加されたな」というくらいにしか思っていないと思う。

なぜ、世の中は科学に対する関心・感動を無くしたのか?それは現在の科学技術のほとんどがブラックボックス化されているからだ。技術の原理を知ろうにも、理解できるものではない。専門家でも畑が違えば理解することが困難だ。そういう意味で、スマホの科学に対する功罪は共に大きい。

一昔前までは、新しい技術が出れば「よくこんなものが出来たな」と感心したものだ。しかし現在は新しい技術が出来るのは当たり前となり、何の感動も覚えない。幼児でもスマホのスクリーンをタッチし、何の疑いも持たずにスクリーン上のキャラクターを操作している。

世の中の多くの人は、現在の科学技術の原理を微塵も知ろうとしない。スマホのように利用できて便利ならそれでいいのだ。科学の原理なんてどうだっていい。そう思っているのではないだろうか?

皮肉なことに、新しい技術が世の中に出る度に、世の中の人は科学技術に対して無関心になっていく。厳密に言うと二極化しているということだろうか?科学に大きく関心がある人、そして科学に全く関心のない人。この二極化は日を追うごとに顕著になってきている。

科学に無関心な人ほど、科学で何でもできると思っている。しかしそんなことは断じてないのだ。科学にできないことは山ほどある。科学を理解するとは、科学には何ができないかを理解することだ。コンピューターにできないことも山ほどある。まずは科学の限界と現在地を明確に理解し、ブラックボックスを覆う布を一枚でも多く剥いでいかなければならない。

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