一億総活躍社会へ向けて。貧困からキャバクラで働く女子大生。(TBS・NEWS 23 より)

現在の安倍内閣の一つの目玉でもある、一億総活躍相。日本国民が幅広く活躍できる社会を目指してこれから政策を実行しようとしているところだ。その中の一つとして、意欲ある学生が大学・大学院へ進学し、勉学にまい進できる環境を作ることも、一億総活躍社会へ向けての重要な政策だ。

しかし、現在の大学生を取り巻く環境、ことに金銭的に余裕のない学生に対して社会が十分な環境を提供できているかというと、疑問に思うことが多い。11月26日のTBS・NEWS23で、貧困学生を取り巻く厳しい環境について特集された。

家庭の事情により仕送りを受け取れない学生も多いという。そのような学生の支援として奨学金制度があるが、日本の奨学金制度は世界の先進国の中では特に異常な状態に陥っている。現在の日本の奨学金制度はほとんど(99%と言っていいほど)貸与型である。しかもその半数の人は利子つきの貸与である。僕も大学院時代、奨学金を借りたが、もちろん貸与型であった。日本の奨学金はでは貸与型が常識であるが、海外(アメリカなど)ではこれを奨学金とは言わない。「ローン」と言うのである。海外で奨学金と言えば給付型が常識であるが、日本では給付型はほぼ皆無である。

一億総活躍社会を目指すには、将来の社会の戦力である学生に対する支援・援助は不可欠だ。しかし現在の日本では大学の卒業時点である社会生活スタート時に、数百万円という借金を背負わしているのである。こんな間抜けな国は世界のどこを見ても見当たらない。現在の日本は自分で自分の首を絞めつけているようなものである。要領よく切り抜けることができる社会人はいいが、一つの失敗が人生を大きく狂わせる、そのような原因に現在の奨学金はなっている。

NEWS23では、学費の捻出に苦しみ、キャバクラに従事する女子学生を取り上げていた。キャバクラの派手なイメージとは裏腹に、彼女らの生活は非常に暗いものになっている。彼女らは、キャバクラなど辞めれるものなら今すぐにでも辞めたいと言う。しかし金銭事情がそれを許さないのだ。

大学で高等教育を受ける代償がキャバクラでのバイトであるとは、今の学生を取り巻く社会は病んでいるとしか言えない。安倍総理が一億総活躍社会実現を目玉として取り組むのなら、このような普段は焦点が当たらない、しかし根深い問題にいち早く取り組んでほしい。せめて彼女らが訴える「昼の仕事で働きたい」という願いだけでもかなうような社会にしなければならない。

 

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