ノーベル賞から一般人が学ぶべきこと。

先日は本庶佑教授のノーベル医学・生理学賞受賞で盛り上がったが、ノーベル賞を一夜騒ぎのお祭りで終わらせるのではなく、科学者でない一般人にとってもノーベル賞から学ぶべきこと、考えるべきことはいろいろある。

ノーベル賞から学ぶべき最も重要な事は、基礎科学は本来、役に立つかどうかで評価されるものではないということだ。確かに重要な科学的成果が人々の役に立つことは往々にしてある。しかし役に立つかどうかということは科学の一側面しか表していないのである。特にノーベル賞受賞対象となる基礎科学は、極論を言うと役に立つかどうかということとは全く関係ない。実際、2017年のノーベル物理学賞受賞対象となった重力波は、少なくとも現段階では全く役に立つめどは立っていない。しかしそれでも科学的価値は絶大なのである。

科学は役に立たないと意味がないと思っている人は、“科学”と“科学技術”を混同しているのではないか?科学技術は確かに役に立たないと意味がないのかもしれない。しかし科学の価値は、役に立つかどうかという所とは全く別次元の所にある。役に立つかどうかという物差しとは全く違う物差しが必要なのである。

以前僕のブログで、「役に立つ科学は、役に立たない科学から生まれる」ということを書いた。これは僕が百歩譲って書いた論である。百歩譲って科学の価値を役に立つかどうかということに置いたとしても、役に立たない科学は重要だということである。

今週はノーベル賞の発表が続くノーベルウィークであるが、今一度、役に立つかどうかという尺度とは違った観点から科学を眺めてもらいたいと強く願う。

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