やっぱり素粒子論は面白い

僕は大学学部は数学系、大学院も数理系の研究科にいたこともあって、今まで勉強、研究してきたことは数理物理とはいえかなり数学よりに偏っていた。しかしもとをただせば小学生のころに長岡半太郎の原子モデルに魅せられたことに始まって、興味の重みは物理の方にあった。大学に入る前から素粒子論を研究すると周りの人に言いふらしていた。

ではなぜ大学に入るときに数学科(数理・自然情報科学科)を選んだかというと、数学は学校でやって、物理は独学でやろうと思ったからだ。しかし大学入学早々、大学図書館にこもって数学の授業も出ずに数学も物理も独学でやろうと挑戦してしまった。おかげで単位はほとんど取らずに一年が過ぎた。

その後いろいろアクシデントがあったりしてかなり回り道をしたが、数学と物理に対する情熱は持ち続けてきた。

最近になって、数学よりから物理よりのことをするようになり、原点であった素粒子論に近いことをやりだして、やはり素粒子論はめちゃくちゃ面白いと改めて感じてきた。

最近していることの一つにゲージ理論というものがあるが、これは数学ではフファイバー束という理論と等価であり、数学と物理の双方で研究がされている。しかし物理としてのゲージ理論の醍醐味は「量子論」としてのゲージ理論であり、この量子化がゲージ理論をより深いものにする一方、非常に複雑なものにしている。

この量子ゲージ理論はまだ厳密に数学的理論化はされていなくて、その数学化はアメリカのクレイ数学研究所の七つの懸賞問題の一つとして一億円の懸賞金がかけられている。

七つの懸賞問題のうち現在までに解かれたのは、ペレルマンが解決したポアンカレ予想だけで(ちなみにペレルマンは一億円の受け取りを拒否し、その一億円は宙に浮いている)他の六個は未解決である。

量子ゲージ理論の問題(厳密には「ヤン・ミルズ理論の存在と質量ギャップ」の問題と言う)はその中でも最も物理寄りで、最も地味な問題に思えるが、この数理物理の問題に数学研究所が懸賞金をかけていることは素晴らしいことである。

次に一億円の懸賞金を獲得するのはいったい誰になるのだろうか。楽しみである。

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